この記事では、Prince2というプロジェクトマネジメントの資格について解説していきます。現役プロジェクトマネージャーの立場からこの資格の概要を広く浅く、そして分かりやすくお伝えすることができればと思います。
- Prince2の内容解説
- Prince2の資格概要
- PMPとの相違点
この記事では、この3つの観点からPrince2という資格を紹介していきます。
したがって、
Prince2の概要についてざっくり知りたい。
PMPとの違いを明確にしたい。
このような方に向けた記事となっております。
参考記事
・What is PRINCE2®?(AXELOS)
・PRINCE2® Foundation, 6th edition(PeopleCert)
Prince2とは
Prince2を理解するためには、上記の動画を参照して頂けると分かりやすいと思います。
Prince2はイギリス政府が定めたプロジェクトマネジメントの手法です。日本ではPMBOKをベースとしたPMPがプロジェクトマネジメントの資格では有名ですが、国際的にはPMPと同じくらいメジャーな資格となっています。
Prince2の管理手法を使ったプロジェクトの代表例には、2012年のロンドンオリンピックがあります。
Prince2の概要
Prince2を構成する要素として、原則(Principles)・テーマ(Themes)・プロセス(Processes)・プロジェクト環境(Project Environment)の4つの要素が含まれています。
この中でプロジェクト環境を除く、3つの要素に従いながらプロジェクトを把握し管理していく手法がPrince2になるのです。
本記事は、この3つの構成要素を1段階深く解説していきたいと思います。
先に資格概要が気になる方は、後半まで読み飛ばしてください!
原則(Principles)
プロジェクトが適切に管理されているかを確認するためのベストプラクティスとして、Prince2には7つの原則があります。(Seven Principles)
- ビジネスの正当性の維持(Continued business justification)
- プロジェクトを継続するための正当な理由を把握しておく。仮に正当な理由がなければプロジェクトはクローズすべきである。
(there must be a justifiable reason to be running and managing the project. If not, the project should be closed.)
- プロジェクトを継続するための正当な理由を把握しておく。仮に正当な理由がなければプロジェクトはクローズすべきである。
- 経験からの学習(Learn from experience)
- プロジェクトメンバーはこれまでのプロジェクトや作業から教訓を探し出し、現在のプロジェクトに活かす。
(PRINCE2 project teams should continually seek and draw on lessons learned from previous work.)
- プロジェクトメンバーはこれまでのプロジェクトや作業から教訓を探し出し、現在のプロジェクトに活かす。
- 役割と責任の定義(Defined roles and responsibilities)
- プロジェクトメンバーは明確な組織設計を持ち合わせて適材適所を図る。つまり、プロジェクトに関わるステークホルダーの特定・プロジェクトメンバーの役割を明確にする。
(the PRINCE2 project team should have a clear organizational structure and involve the right people in the right tasks.)
- プロジェクトメンバーは明確な組織設計を持ち合わせて適材適所を図る。つまり、プロジェクトに関わるステークホルダーの特定・プロジェクトメンバーの役割を明確にする。
- 段階によるマネジメント(Manage by stages)
- 段階的にプロジェクトを計画・管理していく。
(PRINCE2 projects should be planned, monitored and controlled on a stage-by-stage basis.)
- 段階的にプロジェクトを計画・管理していく。
- 例外によるマネジメント(Manage by exception)
- プロジェクトを動かす人間は効率的な運営を行うために、一定の権限が与えられる。
(people working within the project should be given the right amount of authority to effectively work within the environment.)
- プロジェクトを動かす人間は効率的な運営を行うために、一定の権限が与えられる。
- 成果物重視(Focus on products)
- プロジェクトの成果物の定義・質に焦点を当てる。
(PRINCE2 projects focus on the product definition, delivery and quality requirements.)
- プロジェクトの成果物の定義・質に焦点を当てる。
- プロジェクト環境に応じたテーラリング(Tailor to suit the project environment)
- プロジェクト環境に応じて共通言語や仕組みをテーラリングする。
(PRINCE2 must be tailored to suit the project’s environment, size, complexity, importance, capability and risk.)
- プロジェクト環境に応じて共通言語や仕組みをテーラリングする。
参考記事
・What is PRINCE2®?(AXELOS)
テーマ(Themes)
テーマ(Themes)は、先ほど紹介をした7つの原則という土台の上に成り立つ概念で、プロジェクトを成功させるための手段になります。Prince2では、基本的にこのテーマを実行してプロジェクト管理を行っていきます。テーマは原則と同様に7つで構成されます。
- ビジネスケース(Business case)
- プロジェクトの正当性を証明するための手段で、プロジェクトをスタートさせるための判断材料になります。
(create and maintain a record of the business justification for the project.)
- プロジェクトの正当性を証明するための手段で、プロジェクトをスタートさせるための判断材料になります。
- 組織(Organization)
- プロジェクトのステークホルダーを定義するための手段です。
(define the individual roles and responsibilities of the whole project team.)
- プロジェクトのステークホルダーを定義するための手段です。
- 品質(Quality)
- プロジェクトが提供する成果物の品質管理を行うための手段です。
(what the quality requirements and measures are and how the project will deliver them.)
- プロジェクトが提供する成果物の品質管理を行うための手段です。
- 計画(Plans)
- 「何をいつまでにどうやって、誰が達成させるのか」を定義するための手段です。
(the steps required to develop the plans and the PRINCE2 techniques that should be used.)
- 「何をいつまでにどうやって、誰が達成させるのか」を定義するための手段です。
- リスク(Risk)
- プロジェクトへ影響を与えるリスクや脅威を特定するための手段です。
(effectively identify risks and opportunities that could impact the project.)
- プロジェクトへ影響を与えるリスクや脅威を特定するための手段です。
- 変更(Change)
- プロジェクト進行中の変更を管理するための手段です。
(how the project manager will assess and act on changes to the project.)
- プロジェクト進行中の変更を管理するための手段です。
- 進捗(Progress)
- 計画された作業が適切に進んでいるかを管理するための手段です。
(the ongoing viability and performance of the plans and how and whether the project should proceed.)
- 計画された作業が適切に進んでいるかを管理するための手段です。
参考記事
・・What is PRINCE2®?(AXELOS)
プロセス(Processes)
プロセス(Processes)では、プロジェクトの活動手順を定義しており、それぞれのプロセスでテーマ(Themes)が深く関わり合っています。プロセスは7つで成り立ちます。
- プロジェクト始動(Starting up a project)
- プロジェクトマネージャーによって行う作業をこのプロセスでカバーします。プロジェクトの具体的な計画と準備を行い、最終的にはプロジェクト開始文書(Project Initiation Document, PID)が作成されます。
- プロジェクト指揮(Directing a project)
- プロジェクトにおける重要な意思決定をこのプロセスで行います。具体的には、プロジェクトの変更・リスクへの対応などプロジェクトマネージャーの管理範疇の外の意思決定がプロジェクト委員会によって行われます。
- プロジェクトの立ち上げ(Initiating a project)
- プロジェクトスタートの第一段階の計画が行われます。この段階からプロジェクトマネージャーに権限が与えられます。
- 段階のコントロール(Controlling a stage)
- プロジェクトを提供するまでの過程をワークパッケージとして定義し、具体的なプロジェクトの成果物の特定が行われます。プロジェクトマネージャーは、ワークパッケージを遂行していくチームマネージャーの管理を行います。
- 成果物提供のマネジメント(Managing product delivery)
- チームマネージャーによって成果物の品質管理などがこのプロセスでは行われます。
- 段階境界のマネジメント(Managing stage boundaries)
- 段階が終わるごとにプロジェクトマネージャーは、次の段階の準備に進むためにビジネスケースの更新や計画の更新をこのプロセスでは行います。プロジェクト委員会はこのプロセスでプロジェクトの継続の判断を下します。
- プロジェクトのクローズ(Closing a project)
- 最終段階を終えたのちにプロジェクト委員会によってプロジェクト終了の許可がこのプロセスで与えられ、他部署への引き継ぎ作業に移ります。
参考記事
・PRINCE2のメソッド
Prince2の資格概要について
Prince2には、ファンデーションとプラクティショナーの2つのレベルの試験があります。
ファンデーションはPrince2の初歩的な内容が問われる試験で、プラクティショナーはより専門的な内容が問われる試験となっています。なお、プラクティショナーの試験は下記の資格を保有していることが受験資格になりますので注意が必要です。
- PRINCE2 Foundation, 5 edition
- PRINCE2 Foundation, 6 edition
- PRINCE2 Practitioner, 5 edition
- Project Management Professional (PMP)
- Certified Associate in Project Management (CAPM)
- IPMA Level A® (Certified Projects Director)
- IPMA Level B® (Certified Senior Project Manager)
- IPMA Level C® (Certified Project Manager)
- IPMA Level D® (Certified Project Management Associate)
- Project Professional Qualification (PPQ)
- Project Management Qualification (PMQ)
したがって、Prince2プラクティショナーの資格がどうしても欲しい方は、同じエディションのファンデーションを受験することをおすすめします。
Prince2 試験概要
6thエディションでは、ファンデーションは60問中33点(55%)以上のスコアが合格ラインになっており、試験時間は60分の全て選択問題になっています。
一方で、プラクティショナーが68点中38点以上(55%)を取ることが合格ラインで試験時間は150分となっております。
試験のエディションによって試験概要が異なるため、自分の受ける試験がどのエディションなのかを確認しておきましょう。ちなみに、この記事では全て最新の6thエディションをベースに解説しております。
参考記事
・What is PRINCE2®?(AXELOS)
Prince2とPMPの相違点
Prince2とPMPはどちらもプロジェクトマネジメントの方法論に関する資格になります。
Prince2はイギリス政府が考案したプロジェクトマネジメント手法になっております。一方で、PMPはアメリカのPMIというプロジェクトマネジメントを推進する団体が提供するPMBOKをベースにしたプロジェクトマネジメント手法になります。
内容の相違点として、Prince2はプロジェクトを取り巻く組織やシステムに焦点を当てている方法論であるのに対して、PMPはプロジェクトマネージャーのあるべき姿などに焦点を当てている方法論であることが両者の相違点になっております。
また、PMPは数年おきに資格の更新をしなければいけないのに対して、Prince2は資格を更新する必要がありません。
PMPには厳しい受験資格(実務経験)がありますがPrince2には実務経験に関する受験資格がないので自分次第でいつでも受験することができます。
参考記事
・現役PMがPMBOKについて概要から資格まで解説します。
Prince2の難易度
Prince2は以前解説をしたITILと同様に日本語で書かれた参考書が非常に少ないため、独学で学習するのは多少厳しい試験となっております。
ファンデーションの試験の難易度は高くないので、英語にある程度理解できる人は独学で2週間もかからずに資格を取得できるはずです。プラクティショナーはファンデーションよりも多少難易度が高い試験なので、ファンデーションを合格できた人はそのまま受験しても良いでしょう。
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参考記事
・独学でも大丈夫!Prince2ファンデーションの勉強法とは。
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