この記事では、プロジェクトマネージャー(PjM)とプロダクトマネージャー(PdM)の違いについて現役プロジェクトマネージャーである私が解説をしていきます。
私自身、プロジェクトマネージャーの仕事を始めるまでは両者の違いを理解しておりませんでした。両者の役割を明確にすることはプロジェクトにアサインされた後もきっと役に立つ知識となるはずです。
したがって、この記事では
プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーの役割を明確にしたい。
キャリアの観点から両者のポジションを視野に入れたい。
このような方に向けた記事となっております。
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プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーの違い
まずは、表題の通りプロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーの違いについて解説していきます。
- プロジェクトマネージャー：プロジェクトを望まれる状態にすることに責任をもつ
- プロダクトマネージャー：プロダクトを期待される状態にすることに責任をもつ
端的に違いを解説すると上記の通りになります。責任の対象がプロジェクトである場合はプロジェクトマネージャーの仕事であり、プロダクトである場合はプロダクトマネージャーの仕事となります。
では、具体的に両者の特徴と求められるスキルの違いを見ていきましょう。
プロジェクトマネージャーとは
プロジェクトマネージャーとは、PMBOKの定義では「プロジェクト目標を達成することに責任をもつチームをリードするために母体組織が任命する人物である」とされています。
つまり、プロジェクトマネージャーはプロジェクトをやりくりするためにリーダーシップを発揮しつつスケジューリングからステークホルダーマネジメント、ドキュメンテーションなどを行う人物と言えます。プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの全ての役割を実行することは求められていないが技術的知見を持ち合わせていることが求められます。
プロジェクトマネージャーに求められるスキル
プロジェクトマネージャーに求められるスキルとして、PMPを運営するPMIは既にプロジェクトマネージャーに必要とされるコンピテンシーを発表しています。
このコンピテンシーはPMIタレント・トランアングルという名称で下記の通りです。
- ・テクニカル・プロジェクトマネジメント
- ・リーダーシップ
- ・戦略的およびビジネスのマネジメント
がPMIタレントトライアングルの3つの要件に含まれています。
ざっくり、この3つの要件を解説していきます。
テクニカル・プロジェクトマネジメント
テクニカル・プロジェクトマネジメントはプロジェクトを望ましい結果にもたらすために必要なプロジェクトマネジメントスキルを示します。いわゆる、プロジェクトマネジメントメソドロジー、PMBOKやPrince２などに記載されているプロジェクトマネジメントの方法論がこれに該当します。
- アジャイルプラクティス
- データ収集とモデリング
- EVM（出来高管理手法）
- ガバナンス（プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ）
- ライフサイクルマネジメント
（プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ、プロダクト） - パフォーマンスマネジメント（プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ）
- 要求マネジメントとトレーサビリティ
- スケジュールマネジメント
- スコープマネジメント
（プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ、プロダクト） - タイム、予算、コスト見積もり
（The PMI Talent Triangle Your Angle on Success as of 2015.11.26より引用）
リーダーシップ
リーダシップとは、チームの統率しプロジェクトのゴールに向けて導いていくスキルを示します。
プロジェクトマネージャーの仕事の多くがチームメンバーやステークホルダーとのコミュニケーションであることから、このリーダーシップスキルはコンピテンシーの中でも重要視されています。
- ブレーンストーミング
- コーチングとメンタリング
- コンフリクトマネジメント
- EQ（心の知能 Emotional Intelligence）
- 影響力
- 対人能力
- 聞く能力
- ネゴシエーション
- 問題解決
- チームビルディング
（The PMI Talent Triangle Your Angle on Success as of 2015.11.26より引用）
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戦略的およびビジネスのマネジメント
戦略的およびビジネスのマネジメントとは、PMBOKによると「組織全体をハイレベルな視点で把握し、戦略的提携と技術革新をサポートする意思決定と行動を効果的に交渉しかつ展開する能力」と定義されています。
簡単に言い換えると、プロジェクトスポンサーにプロジェクトマネージャーが進捗状況を説明するためにプロジェクトをビジネス的側面・技術的側面から理解するスキルになります。
- ベネフィットマネジメントと実現
- ビジネスマインドと感覚
- ビジネスモデルと構成
- 競合分析
- お客さまとの関係と満足度
- 業界知識と標準
- 法令遵守
- 市場の認知度と条件
- 業務機能（例：ファイナンス、マーケティング）
- 戦略計画、分析、整合
（The PMI Talent Triangle Your Angle on Success as of 2015.11.26より引用）
参考記事
・プロジェクトマネジメント・プログラムマネジメント・ポートフォリオマネジメントの違いとは。
プロダクトマネージャーとは
次にプロダクトマネージャーについて解説していきます。
プロダクトマネージャーとは、外資IT企業のAha!の2021年度版の定義によると
Product managers are responsible for guiding the success of a product and leading the cross-functional team that is responsible for improving it. It is an important organizational role — especially in technology companies — that sets the strategy, roadmap, and feature definition for a product or product line. The position may also include marketing, forecasting, and profit and loss (P&L) responsibilities.
とされています。
この内容を簡単に言い換えると、プロダクトマネージャーはプロダクトを成功させることに責任をもつ人物であり、彼らの役割はプロダクトの機能を決めることやP＆L管理など多岐に渡ります。プロダクトマネージャーはプロジェクトマネージャーと同様に、多岐に渡る関係者とのコミュニケーションが求められるポジションです。
プロダクトマネージャーに求められるスキル
プロダクトマネージャーに求められるスキルは、先程の同様にAha!引用で下記の通りになります。
- 戦略的思考
- 共感スキル
- リーダーシップ
- コミュニケーション
- リサーチスキル
- 技術的知見
- 財務スキル
- 分析スキル
- プロジェクトマネジメントスキル
- プレゼンテーションスキル
リーダーシップやコミュニケーション能力、プレゼンテーションスキルなどは先述したプロジェクトマネージャーの求められるスキルと同じとなっております。
一方で、プロダクトマネージャーはプロダクトのロードマップや計画の作成が要件に入っているためにリサーチスキル・財務スキル・分析スキルなどがプロジェクトマネージャーと比較して求められます。
この点がプロダクトマネージャーの大きな特徴かと思われます。
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